記事・コラム 2024.10.11

【現役予備校講師が教える!】6年生が夏にすべきこと

学生最後の夏! だけどやることてんこ盛り! ~国家試験対策 夏編~

学生最後の夏! だけどやることてんこ盛り!
~国家試験対策 夏編~

【学生最後の夏は大忙し】

ついに学生最後の夏が近づいてきましたね。8月は就職面接に国試の勉強、人によっては部活最後の大会と大忙し。
一先ず、この7月までに何をやったものかと途方に暮れている方もいる事でしょう。

そこで今回は、この6年の夏という超特殊な状況を乗り越えられるように、今のうちにどのような準備をしておくのが良いのか、皆様にお伝えできればと思います。

6年生はマラソン。スケジュールをよく確認し、日々を充実させましょう!

【まずは目の前に迫ったマッチング面接とpost-CC OSCEから】

7月になると迫ってくるのは、マッチングとpost-CC OSCEです。
この二つが重なると、中々勉強を、と思っても集中できない事でしょう。

特に就職に関しては、ある種人生最大の転機をスルーして勉強をしていく事というのは、中々できないと思います。
多かれ少なかれ、面接の対策はしなくてよいのだろうかとか、アンマッチになってしまうのではないかという不安は、その病院に余程のコネクションがない限りは直前になればなるほどつのると思います。

それならば7月は勉強の方をそこそこにして(ゼロは論外です)、 マッチング面接とpost-CC OSCEの対策をある程度やるという配分にしてしまうのも大いにありだと思います。

では、どのように対策をするかというと、それは先輩やご家族、友人、あとはプロに面接やOSCEの練習の際に頼る事になります。
OSCEも面接も、対策を一人でやることは不可能です。ですから、そこは素直に人の力を借りる。これが重要になると思います。

内容に関しては、面接であれば一般的な就職活動的な内容と医学界の最低限のトピックス、OSCEであれば、海外OSCEの教科書を参照にするのは一つ有効な手です。
他にも当直御法度などの研修医向けの症候学本などもOSCEの練習では参考になるかもしれません。
最後に、どちらも反復練習こそが成功の秘訣です。くたびれるとは思いますが、どうか淡々と繰り返し、OSCEと面接は訓練を続けてください。


【勉強は何をやっていくのがいいの?】

はっきり言って、国家試験までにやっておくべき勉強内容というのは、非常に多岐にわたります。
国家試験の過去問は最低3年分、予備校のビデオ講義を見て、復習し、学校の対策授業もこなし、卒試対策をして……と、正直目が回ります。

ですが、やり方にはある程度要領があります。例えばですが、国家試験の過去問3年分は漫然と解くだけではいけません。
3年間の問題の全てに目を通して、どんな共通点があるのかなどの傾向まで目を通しておく必要性があります。

それと、臨床医学の世界におけるここ数年のトピックスには敏感になっておく必要性があります。
例えばですが、ガイドラインの変更点が、2-3年後の国家試験によく出る傾向にあります。
他にも、COVID-19が流行ると、感染症や公衆衛生的な話が国家試験で多発しました。
そういうトピックス的な話は、各大学の先生方によく確認をしておいたり、あるいは予備校のビデオ講義に雑談としていることがあるので、
そういうところまでしっかり確認しておいたりすると、対策になるかもしれません。

また、6年生になっても実習がある大学というのは決して珍しくないと思いますが、その際にもし見学する診療科を選択するのであれば、救急や総合診療科などを見学しておくと、非常に勉強になることがあります。これは何故かというと、必修やpost-CCOSCEの対策になるからです。
これらでは救急と症候学的な問題が非常に大事になります。
ですから、救急や症候学を深く学べる診療科を選択すると、それだけでも十分な対策になる事があります。

そして何よりも強調しておきたいのは、やはり国家試験の勉強の基本はまとめノートを作るという事です。
一部の特殊な人間を除いて、やはり知識はただ見ただけでは頭には入りません。
自分なりに考えて、手を動かし、話して頭に定着させるものです。

ですから、皆様にお勧めするのは、国家試験の問題集以上に、予備校の講義を中心とした独自のまとめノートを自分で作る事。
最終的に合格している人たちは、皆多かれ少なかれまとめノートを作って記憶に定着させようとしていました。
どうか皆様も、完璧でなくてもいいので、コツコツと全教科分のまとめノートを作ってみてください。

勉強する男性


【身体は資本。体調をどう整える?】

とは言え、ずっと勉強ばかりしていると、身体に疲労が蓄積してきます。
特に予備校のビデオ講義ばかり見ていると、眼精疲労と肩こり、腰痛で段々と能率が下がってきます。

ですから、国家試験中は可能であれば定期的に整体・マッサージや鍼灸の施術を受けに行くと、かなり効率よく息抜きもでき、勉強の能率が上がります。

実は肩こりや腰痛は、年間数兆円にも及ぶ経済損失を生んでいるという事が産業医学の研究で分かっているほど、我々の生産性・作業能率を下げます。そのため、そういう体のケアというのも、程々に取り入れていく方が勉強を続けていく上では大切になってきます。

それとありがちなのが、何故かこの国家試験の時期に限って親知らずが痛んだり、持病が悪くなったりしたという話は比較的よく聞きます。もしそのような事があったら、決して我慢をせずに早急に治療をしましょう。

また身体と同様、メンタルを整えていくことも重要です。
例えばですが、何か悩みがあれば、悩まずすぐに人へ相談をする事は国家試験を乗り越えていく上では重要です。

皆様の若い脳みそで10分考えて答えが出ないことは、誰にも答えは出せません。
ですから、そういうすぐにどうにもならない問題というのは、一人では悩まず人へ速やかに吐き出す事。
これだけでも随分と心が楽になります。

本番直前で心身に不調があると、本番に集中できるものもできません。
ですから、勉強だけでなく、心身も万全に持っていく事。これも国家試験に挑む上では重要なファクターです。

お茶を飲む女性

【結局は皆と同じことをやり続ける事】

そもそも、国家試験は成績を競い合う試験ではなく、淡々と「合格」を目指していく試験です。
そうなると戦略は平均合格率に該当する90%の人がやっている事を当たり前の事としてやり続ける事が重要になります。

もしその「当たり前」をまず確認したいのであれば、周りに沢山いる他の受験生の“普通”を色々と聞いていく事が重要だと思います。
CBTと異なり、国家試験は全国で合格基準が統一されています。そのため、国家試験に関しては他校の生徒の話も参考にできます。

なお、皆様のご両親の世代は、もう国家試験の制度そのものが色々と変わってしまっていますので、あまり参考にならない可能性が高いです。ですから、できれば歳が近い方々の話を参考にすると、より自分の国試と近い感覚の話を聞くことができるでしょう。

今回の試験では、医学部受験と異なり、あなたの周りにいる人たちは蹴落としあう敵ではありません。
共に合格という大きな山を登っていく、登山のパートナーなのです。

ですから、皆で受かっていけるよう、互いに情報を出し惜しみすることなく、自他ともに高みを目指していき、勉強していくといいでしょう。

【結局は皆と同じことをやり続ける事】

この夏が終われば、あとは卒業試験と国家試験を残すだけです。

皆様はあの医学部の受験を乗り越えてきた方々です。
という事は、そもそも勉強に関してはできるはずです。

医学部受験を思い出し、一心不乱に腕を動かす事。これをやり続ければ、卒試も国試も何も怖いことはないと思います。諦めたらそこで試合終了ですよ。

それでは、皆様が無事に六年生を乗り切れますよう、心の底から祈っております!


著者プロフィール

なつ

ペンネーム:なつ
プロフィール:市中病院勤務の脳神経内科医。趣味は釣りと小説と東洋医学。臨床をこなしながら、CES医師国家試験予備校で講師として「アウトプットする授業」をモットーとして学生の指導に当たっている。

僕のコラムが何らかの形で皆様の力になれば幸いです。
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