医療ニュース 2025.04.17

肝臓機能備えた「ミニ臓器」の作製成功、創薬研究に活用へ…慶応大チーム発表

 慶応大の研究チームが、肝臓が持つ主要な機能を備えた細胞の塊「肝細胞オルガノイド」の作製に成功したと発表した。本物の肝臓に近いミニ臓器として創薬の研究などに役立つ成果で、科学誌ネイチャーに17日、掲載される。

 肝臓は栄養素をためたり有害物質を分解したりする多彩な機能があるが、機能を完全に保ったまま肝細胞を増やし、肝機能を再現することは難しかった。

 佐藤俊朗・慶応大教授(幹細胞医学)らのチームは、従来の細胞培養法に特定のたんぱく質を加えることで一つの肝細胞を100万倍以上に増やし、100日以上安定的に培養することに成功した。特定の成長ホルモンを投与すると肝臓に似た構造もでき、尿素やブドウ糖を作ったり解毒したりする機能も確認した。

  東京科学大の 油井ゆい 史郎准教授(消化器再生学)の話 「肝不全治療に肝細胞オルガノイドを使う再生医療の足がかりにもなる成果だ」