医療ニュース 2025.04.11

福島県の公立小中学校、バリアフリー対応トイレの設置率全国ワースト2位…整備目標の達成は遠く

 福島県内の公立小中学校のうち、43・1%しかバリアフリー対応のトイレを校舎に整備していないことが、文部科学省の調査で分かった。整備率は全国ワースト2位だった。公立学校の多くは災害時に避難所となるため、文科省は車いすの利用者らも使いやすいトイレの設置を求めているが、実現は難しい状況だ。

 調査は昨年9月、すべての国公立小中学校と特別支援学校を対象に行われ、先月28日に公表された。

県内の公立小中学校573校のうち、バリアフリー対応のトイレを校舎に設置している学校は247校で整備率は43・1%だった。前回調査(2022年9月時点)に比べ3・3ポイント増えたものの、全国で最低だった鹿児島県(40・3%)に次いで低かった。

 校舎の昇降口や玄関から教室までの段差を解消するスロープなどを整備している学校は231校で整備率は40・3%(前回比9ポイント増)。こちらも鹿児島県に次いで全国で2番目に低かった。

 そのほか、体育館内にバリアフリー対応のトイレを設置している学校の整備率も34・4%で全国平均を大きく下回った。

 一方、校舎など学校施設のバリアフリー化に関する計画を策定している自治体は、59市町村のうち11市町村。内訳は、会津若松市など5市、川俣町など3町、檜枝岐村など3村だった。

 政府は2025年度末までに、災害時に近隣住民の避難所に指定されている全学校(総学校数の約94%)の校舎へのバリアフリー対応のトイレの整備を目指している。しかし、調査結果によると、県内では25年度末までに設置予定の学校は44・5%にあたる255校にとどまり、文科省の整備目標には届かない見込みだ。

 設置が進まない理由について、県内の教育委員会は「多くの学校で老朽化が激しく、改修工事も一緒に行うと時間がかかる」「財政が厳しく、学校施設のバリアフリー化まで取り組むのが難しい」などとしている。

 文科省は既存の校舎をバリアフリー化する費用の補助制度を設けている。県教委財務課施設財産室は、「徐々に整備されているが、全国からみると割合は低い。引き続き、市町村教委に国の補助制度を周知し、バリアフリー化の推進を呼び掛けていきたい」としている。