医療ニュース 2025.04.11

国立病院機構が懲戒処分の47人を報道発表せず、ホームページのみ掲載…「公表のあり方について検討」と担当者

 全国に140病院を展開する独立行政法人国立病院機構(本部・東京)で、2024年度に公表された計47人の懲戒処分がいずれも報道機関には発表されず、ホームページ(HP)のみの掲載にとどまっていたことがわかった。うち2人は最も重い懲戒解雇で、停職も22人に上った。機構本部は重大事案は報道機関に発表するとしているが、全国の各グループは懲戒解雇でも行っていなかった。

 機構は全国を地域ごとに6グループに分けて運営している。読売新聞が各グループに問い合わせたところ、24年度にHPで公表された懲戒処分は▽北海道東北7人▽関東信越10人▽東海北陸10人▽近畿3人▽中国四国7人▽九州10人――だった。

 このうち、東海北陸は2月、先輩後輩の関係の影響力を用いて後輩職員と性的関係を繰り返し結ぶなどした東名古屋病院(名古屋市)の男性理学療法士を懲戒解雇にした。関東信越も昨年10月、通勤中に2人を死傷させる事故を起こし、有罪判決を受けた西新潟中央病院(新潟市)の看護師を懲戒解雇していた。

 患者にかかわる不祥事も相次ぎ、東海北陸は昨年12月、鈴鹿病院(三重県)で障害がある複数の入院患者を虐待したとして、看護師ら女性4人を停職などにした。

 人事院は「懲戒処分の公表指針」で、公表方法について「記者クラブ等への資料の提供その他適宜の方法によるものとする」と例示している。

 各グループは22~23年頃までは懲戒処分を報道機関に発表していたが、24年度は懲戒処分の多くは3週間程度、HPに掲載された後、消されていた。報道発表の事例がなかったことについて、東海北陸は「処分がこれ以上であれば発表するというものではなく、個々に判断している」と説明する。

 機構本部の担当者は「(読売新聞の)指摘を受けるまで、懲戒解雇でも報道発表していない事案があることは把握していなかった。隠しているように見られるのは本意ではない。公表のあり方について検討を始めている」と話した。

  ◆国立病院機構= 国の医療政策や地域医療の向上に貢献することを目的に、全国の旧国立病院と旧国立療養所を合わせ、2004年に発足した厚生労働省が所管する独立行政法人。日本最大級の医療グループで約6万4000人(昨年4月時点)が働いている。職員は「みなし公務員」に該当する。