医療ニュース 2025.04.09

百日せき流行が急拡大、すでに昨年1年間上回る4771人…薬効きにくい耐性菌が広がっている恐れ

 激しいせきが続く百日せきの流行が拡大している。感染症を監視する国立健康危機管理研究機構によると、今年の累計患者数は3月30日時点で4771人(速報値)に達し、2024年1年間の4054人をすでに上回った。専門家は「重症化を予防するため、子どものワクチン接種を検討してほしい」と呼びかけている。

 百日せきは、細菌によって引き起こされ、主にせきやくしゃみなどの 飛沫ひまつ でうつる。せきで呼吸困難になることがあり、生後6か月未満の乳児が重症になりやすく、肺炎や脳症などを引き起こすと命にかかわる。感染症法で、18年から全ての患者を把握することになった。

 今年の患者数は1月6~12日に135人が確認されて、その後も増加傾向が続く。直近1週間の3月24~30日には578人と、18年以降で最多となり、都道府県別では新潟が73人、兵庫が36人、沖縄が35人となっている。治療には抗菌薬が使われるが、薬が効きにくい耐性菌が大阪や沖縄などで見つかり、国内で広がっている恐れがある。

 百日せきを含む5種混合ワクチンは、公費による定期接種の対象で、生後2か月から2歳半頃までに4回の接種が標準的となっている。日本小児科学会は、乳児の早期接種と、小学校入学前と高学年での任意接種を促している。

 浜松医科大の宮入 いさお 教授(小児科学)は「コロナ禍では流行が抑えられ、免疫を持つ人が少なくなっている。ワクチンの効果が薄れる時期の追加接種も検討してほしい」と話している。