医療ニュース 2025.03.31
コロナ検査キット卸販売の医療関連会社が3・5億円所得隠し…国税指摘、架空の運送費を計上
自治体による新型コロナウイルスの無料検査事業で検査キットの卸販売をするなどしていた東京都内の医療関連会社が、東京国税局から2022年11月期までの2年間に計約3億5000万円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。検査キットに関して架空の経費を計上していたとして、重加算税を含めて法人税など計約1億9000万円を追徴課税されたという。
追徴課税されたのは、中央区の医療関連会社「アイチェック」(現・日本IC)。日本でコロナ禍が本格化した後の20年12月に設立され、PCR検査や抗原検査キットを販売していたほか、東京都などの自治体が行う無料検査事業で、検体採取業者に対する検査キットの卸販売などを手がけていた。民間の信用調査会社によると、22年11月期の売上高は約56億9900万円だった。
関係者によると、アイチェックは一連の取引の中で、検査キットの運送代金を支払ったとして経費を計上していた。しかし、同国税局が調べたところ、この代金に見合うような運送が行われた形跡がなく、同社が取引先に実態のない運送費用の請求書を作成させていたことが判明。架空の経費計上で計約3億5000万円の所得を圧縮していたと認定した。
同国税局は仮装・ 隠蔽 を伴う悪質な所得隠しに当たると判断。架空の経費計上に伴い、本来納めるべき消費税も減らしていたとして、重加算税を含めて法人税と消費税あわせて計約1億9000万円を追徴課税したとみられる。
読売新聞の取材に対し、同社は「監査法人による監査を実施しており、適法な会計・税務処理が行われていると認識していたが、国税当局との間で解釈の違いが生じた。指摘に従い、修正申告と分割納税を実施している」と回答した。
同社を巡っては、都の新型コロナ無料検査事業を巡り、元営業推進課長が今年1月、警視庁に詐欺容疑で逮捕された。逮捕容疑では、元課長は共犯者と共謀し、22年10月~23年1月、都内約20か所の検査所で行ったPCR検査と抗原検査の実施件数を約11万9000件水増しして都に報告し、補助金約7億9500万円をだまし取ったとされる。同社は別の検体検査会社と共同で検査所を運営していたという。
元課長は3月に詐欺罪で東京地裁に起訴された。事件について、アイチェックは「捜査に協力している」とコメントしている。