医療ニュース 2025.02.19

岩手県滝沢市が中学プール授業を廃止へ…老朽化・欠席者増が要因、スポーツ庁は批判「続けるべき」

 岩手県滝沢市は、新年度から市内の中学全6校で水泳の実技授業を廃止する。プールの老朽化に加え、コロナ禍以降に授業の欠席者が増えたことや熱中症のリスク、体と心の性認識のギャップへの対応などを理由とするが、スポーツ庁は「全国的に例がない。水泳は必修であり、続けるべきだ」と批判している。

 市教育委員会によると、市内の中学校でコロナ禍以降、体調不良などを理由に水泳の授業を欠席する生徒が増加。ある中学校では2023年度の欠席者の割合が36%に達した。

 体調不良の理由は、発熱やせきといった風邪の症状だけでなく、「気分が悪い」という理由もあるという。以前は体調次第で教員が授業参加を促すこともあったが、コロナ禍以降、市教委が学校に対し「生徒や保護者の申し出を一層尊重すること」を求めていることも欠席増の一因という。

 各中学のプールはいずれも設置から30年を超え、2校は50年超。市は、設備を更新する場合は多額の費用がかかるほか、欠席者の増加や熱中症の懸念などを踏まえ授業の廃止を決めた。

 ただ、学習指導要領では中学1、2年生は水泳を必修とし、文部科学省は「水泳指導の手引」の中で「水泳の事故防止に関する心得は必ず取り上げること」と規定している。水泳を実施しないケースは「適切な水泳場の確保が困難な場合」のみだ。

 市は新年度以降、心肺蘇生法などの応急処置や水難事故防止に関する授業を拡充することで対応する。小学校では水難事故防止の観点から25メートルなど一定の距離を泳げるようにするため、実技の授業は継続する。

 スポーツ庁の担当者は「滝沢市が実技授業をやめる理由としては弱い。もっと慎重に判断すべきだ」と話す。岩手大学の清水茂幸教授(保健体育科教育学)は「水泳の授業は水から子どもの命を守るという観点から非常に重要。欠席をしないように指導しながら授業を行うことが大切だ」と指摘している。