医療ニュース 2025.02.13
高額療養費制度の負担上限額引き上げ、福岡厚労相が患者団体に見直し意向を伝達…「長期療養」の負担軽減
福岡厚生労働相は12日、医療費が高額になった場合に患者負担を抑える「高額療養費制度」の負担上限額の引き上げを巡り、がん患者団体などと面会し、政府方針の一部を見直す意向を伝えた。長期治療が必要な人の負担を軽減する「多数回該当」の仕組みでの軽減策を検討している。
福岡氏は面会で、「長期療養する方の負担感を含め、現場の声を聞いた上で、今後の見直しのあり方を考えていく」と述べた。厚労省側は面会で具体的な修正案は示さなかったが、上限額を引き上げる方針は維持しつつ、直近12か月で6回、月の上限額を超えた場合、7回目以降は負担を軽減する案を検討している。
一方、患者団体側は、政府方針そのものの凍結を求める要望書と上限額の引き上げに反対する約13万5000人分の署名を手渡し、「負担増は患者の治療断念につながり、命の危険にさらされる」と訴えた。
高額療養費制度は、窓口負担が上限額を超えた場合に、差額分を健康保険組合などが患者に給付する仕組みだ。政府は2025年8月から27年8月にかけて、年収ごとに区分されている上限額を段階的に引き上げる方針を昨年12月に発表した。年収約650万~約770万円の場合、直近12か月で3回、月の上限額を超えると、4回目以降の自己負担の上限額は現在4万4400円に抑えられているが、27年8月からは7万6800円に増える。
面会後に記者会見した全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は「今回の上限額の引き上げには問題が多い。いったん凍結してほしい」と語った。