医療ニュース 2024.12.10

ヘリ・飛行機の「洋上救急」一度の出動で7時間…医師・看護師・救急救命士の38人が訓練で備え

 航行中の船舶で発生した傷病者を、医師らが乗った海上保安庁などのヘリコプターや飛行機で搬送する「洋上救急」の訓練が10日、海保羽田航空基地(東京都大田区)で行われた。医師・看護師と、今年から新たに出動対象となった救急救命士を加えた7医療機関の38人が参加した。

 制度は1985年10月に始まり、今年11月末までに海保と自衛隊の航空機による救助件数は全国で1004件、1037人に上る。日本最南端・沖ノ鳥島や最東端・南鳥島より遠い海域もカバーしており、いったん出動すると、医療従事者が勤務先に戻るまでに平均7時間以上を要する。

 参加者はこの日、羽田基地でヘリに乗り込み、海保の機動救難士と一緒に心肺蘇生や点滴、気管挿管などの手順を確認。ヘリや飛行機に搭載されている救助資機材の点検なども行った。午後には駐機場でヘリのエンジンを起動して騒音の度合いを体感しながら、ヘッドセットを通じた意思疎通を練習する。

 同僚の看護師らと参加した日本医科大学付属病院・高度救命救急センターの下西颯医師(28)は「思ったよりスペースが狭く、普段と違って座りながらの処置になるが、傷病者とのポジショニング(位置取り)を含め、あらかじめ確認できてよかった」と話していた。