医療ニュース 2024.10.29
医療費が月1000万円以上は延べ2156人、9年連続で過去最多…高額な新薬の利用広がる
1か月の医療費が1000万円以上かかった人は2023年度に延べ2156人となり、9年連続で過去最多を更新したとする調査結果を健康保険組合連合会(健保連)が発表した。前年度比20%増で、過去10年で約7倍に増加している。
大企業の社員や家族ら計約2800万人が加入する各健保の診療報酬明細書(レセプト)を基に医療費を分析した。
月額1000万円以上の医療費がかかった人は、14年度(延べ300人)以降、増加し続けている。23年度の最高額は1億7815万円で、14人が1億円を超えていた。いずれも全身の筋力が徐々に衰える難病「脊髄性筋 萎縮 症」の患者で、薬価(公定価格)が約1億6708万円の治療薬ゾルゲンスマを使用していた。
医療費が高額となった上位100位までの主な疾患を過去10年間で比較すると、14年度は心臓病などの循環器系疾患や血友病が7割に上ったのに対し、23年度はがんが同程度を占めた。近年は白血病やリンパ腫などの高額な新薬に公的医療保険が認められ、使用が広がっていることが要因という。
患者の自己負担は、高額な治療を受けた場合でも、高額療養費制度などを利用すると月に数十万円以下に軽減されることが多く、残りは各健保や健保連が負担する。