医療ニュース 2024.10.29
「医師の働き方改革」で救急搬送の受け入れ困難「増えた」16%…外来診療や宿直も縮小
今年4月から始まった「医師の働き方改革」に伴う勤務医の残業時間規制の影響で地域医療に生じている問題として、全国の医療機関の16%が「救急搬送の受け入れ困難事例の増加」を挙げたとする調査結果を日本医師会(日医)が発表した。11%は「自院の手術が減った」と答えるなど医師確保に支障が出ている実態が浮かび上がった。
調査は8~9月、入院可能な有床診療所と病院の計1万4216施設を対象に実施し、4082施設から回答を得た(回答率28・7%)。
地域で実際に起きている問題点を尋ねたところ(複数回答可)、受け入れ困難事例が「救急搬送」(15・6%)、「専門的な診療科の紹介患者」(8・3%)、「母体搬送・ハイリスク妊婦」(2・1%)で増え、「医療圏域外への搬送」(7・5%)も増加していると答えた。
自院への影響では「手術件数減少」(10・8%)、「外来診療体制の縮小」(5・3%)、「宿日直体制縮小・撤退」(5・2%)などが挙がった。大学病院などから医師の派遣を受ける2927医療機関では、21・6%が「宿日直の応援医師の確保が困難になっている」と回答した。
調査を担当した 城守国斗 ・常任理事は「働き方改革が地域医療に大きな影響を及ぼさないよう、今後も継続して調査する。医師の健康確保と医療の質の維持向上のバランスを取ることが重要だ」と話している。