医療ニュース 2024.10.24

心臓移植、「余命1か月以内・60歳未満」最優先に…厚労省が患者の選定基準見直しへ

 厚生労働省は23日、脳死者から提供された心臓の移植を受ける患者の選定基準を見直し、余命が1か月と予測される60歳未満の患者を最優先とする方針を決めた。待機中に病状が悪化して亡くなるケースを減らす狙いがある。同日の臓器移植委員会で、提案が了承された。来年にも運用が始まる見通しだ。

 脳死者から提供された臓器の移植については、日本臓器移植ネットワーク(JOT)が心臓、肺、肝臓、 膵臓すいぞう 、小腸、腎臓の6臓器ごとに決められた基準を踏まえて、移植を待つ患者の優先順位を決定。上位から、患者が登録する移植施設に臓器の受け入れを要請する。

 心臓の現行基準は、待機期間が長い患者が移植を受けやすくなっている。これに対し、日本心臓移植学会などが救命のため緊急性の高い患者を優先するよう要望。厚労省は「緊急に心臓移植を行わないと短期に死亡が予測される病態で、余命1か月以内の60歳未満の患者」を最優先とする案をまとめた。

 小腸などの基準も見直す。小腸では、臓器提供者が18歳未満の場合に、18歳未満の患者の優先度を高め、体格に合ったあっせんをスムーズに行えるようにする。別の病気で治療中などの理由で当面、移植を受けられない患者を一時的にあっせん対象から外す仕組みも設ける。

 さらに、肝臓、小腸、膵臓の3臓器同時移植も、条件付きで認める。