医療ニュース 2024.10.18

国産手術支援ロボ「ヒノトリ」で11歳男児の腫瘍摘出に成功、出血はごく少なく経過良好

 神戸大病院は17日、国産初の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」を使って、小学生男児(11)の副腎腫瘍を摘出する手術に成功したと発表した。ヒノトリで15歳未満の小児を対象に手術を行ったのは初めて。経過は良好という。

 発表によると、男児は関西在住。6月にけいれんなどを発症して別の病院に入院し、腎臓の上にある副腎にできる希少な腫瘍「褐色細胞腫」と診断された。

 ヒノトリは、川崎重工業とシスメックスが共同出資するメディカロイド(神戸市)が開発した。ロボット支援手術は患者の出血量が少ないのが利点で、2020年に製造販売が承認され、今年6月末現在、全国の医療機関に61台導入されている。

 手術器具を取り付けるアームが比較的細く、先行する米国製の手術支援ロボットよりもアームの関節数が多いことから小回りが利き、体の小さな患者でも操作しやすいのが特長という。

 手術は9月18日に行われ、左右にある副腎のうち、腫瘍が見つかった右側を摘出した。4本あるアームのうち3本を使用してごく少ない出血で済み、男児は同月下旬に退院し、通学できるほどまで回復している。

 執刀した神戸大病院小児外科の大片祐一・特命准教授は「小児外科の手術で、日本製ロボットの選択肢を加えることができた。質の高いロボット手術を提供する体制を整えていきたい」としている。