医療ニュース 2024.08.15

エムポックスにWHOが緊急事態宣言、1年3か月ぶり…アフリカ中部で感染拡大

 【ジュネーブ=森井雄一】世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は14日、アフリカ中部で広がる感染症「エムポックス(サル痘)」について、約1年3か月ぶりに「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。

 テドロス氏は記者会見で「エムポックスの急拡大を抑え人命を救うには、国際的な協調が欠かせない」と訴えた。WHOの専門家グループはワクチン接種を推奨している。

 WHOによると、エムポックスの新系統のウイルスが昨年見つかり、急拡大している。コンゴ民主共和国では今年、1万5600人以上の感染と537人の死亡が報告された。新系統はケニアやルワンダなど周辺国でも確認されている。

 天然痘に似たエムポックスは元々アフリカの風土病だったが、2022年以降に欧米などで感染が拡大した。日本の厚生労働省によると、国内では248人の感染が確認された。WHOは同年7月に緊急事態を宣言し、感染が落ち着いた昨年5月に解除していた。

 エムポックスはリスやネズミなどの「げっ歯類」やサルなどがウイルスを保有しており、かまれると人に感染する。人から人へは肌の接触や性行為などでうつり、発疹のほか発熱や頭痛、リンパ節の腫れなどの症状が出る。多くは発症後2~4週間で自然回復する。