医療ニュース 2024.08.01

アルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」製造販売を了承…厚労省部会、11月にも公的保険適用

 厚生労働省の専門家部会は1日、米製薬大手イーライリリーのアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」(商品名ケサンラ)について、製造販売の承認を了承した。病気の原因とされる物質を除去するタイプの薬では、日本の製薬大手エーザイなどが開発したレカネマブに次いで2例目。11月にも公的保険が適用される見込み。

 ドナネマブは、患者の脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイド βベータ (Aβ)」の塊を取り除き、病気の進行の抑制を図る。対象は、認知症の前段階となる軽度認知障害(MCI)の人を含むアルツハイマー病の早期の患者。点滴で月1回、最長1年半投与する。1年をめどに検査してAβの塊の消失が確認できれば投与をやめられる。

 約1700人が参加した最終段階の臨床試験では、認知機能などの低下を22%抑える効果が確認された。病状がより早期のグループでは35%の抑制効果があった。副作用として脳の微小出血や腫れがみられた。

 昨年8月、厚労省に承認申請が出され、米国では今年7月2日に承認されていた。米国での年間治療費は約3万2000ドル(約480万円)となっている。日本の薬価は厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会で議論される見通し。

 レカネマブは昨年9月に国内で承認され、12月から保険診療で使われている。