医療ニュース 2024.05.29
災害時に医薬品や食料品のドローン輸送拡大へ…禁止空域でも許可得ずに飛行可能に
政府は、災害時のドローン活用を拡大する方向で最終調整に入った。医薬品や食料品など支援物資の輸送であれば、飛行禁止空域でも許可を得ずに飛行できる仕組みの規制緩和を検討しており、規制改革推進会議が31日にもまとめる答申案に明記する見通しだ。6月に閣議決定する規制改革実施計画に盛り込み、年内にも実施する。
ドローンの飛行は、住宅密集地など通常の禁止空域に加え、災害時には捜索や救助にあたるヘリコプターなどの妨げにならないよう、航空法に基づき飛行禁止空域が追加される。現状では、禁止空域で飛行させるには国土交通相の許可が必要で、都道府県警や自治体からの依頼があった場合には、許可が不要となっている。
1月に発生した能登半島地震では、道路が寸断され、孤立集落への対応が課題となった。ドローンは、被害状況を把握するための空撮などでは使われたものの、支援物資の輸送での活用はわずかにとどまった。
被災地からの要望も踏まえ、答申案では、医薬品や食料品などを輸送する場合には、禁止空域でも許可を得ずに飛行できることを明確化するよう国土交通省に求める。被災者に迅速に物資を届けるため、ドローンの活用を促す狙いがある。
このほか答申案では、スタートアップ(新興企業)を支援するため、株式会社などの設立に必要な定款の認証制度も見直す。定款の認証にかかる手数料について、スタートアップを対象に、現行の最低3万円から半額程度に引き下げを検討することを明記する方向だ。
手続きの簡素化も進め、今年度中に、定款案の提出から法人の設立登記までを72時間以内に完了させる新たなシステムの運用を始める。デジタル庁の「法人設立ワンストップサービス」を使った場合は、24時間以内に完了させる。
個人が自家用車を使って有償で人を運ぶ「ライドシェア」を巡っては、需要増が見込まれる雨天やイベント時にも活用できるよう制度改善を盛り込む見通しだ。タクシー会社以外にも参入を認めるかどうかについては調整が続いている。