医療ニュース 2024.05.08

出産費用への保険適用に向け検討会設置へ…政府、妊産婦の心身支援策も議論

 政府は出産費用への公的医療保険の適用に向け、有識者らによる検討会を近く設置する方針を固めた。保険適用への課題や妊婦の支援策を議論して報告書を取りまとめ、厚生労働省やこども家庭庁による制度作りに生かしたい考えだ。

 検討会のメンバーには、産婦人科医や助産師、健康保険組合などの保険者らに加え、妊婦自身も参加する案が出ている。

 検討会では、医療措置ごとの診療報酬や保険適用の範囲、地域ごとの医療体制のあり方などについて、現場の声も聞いて協議する。妊娠中や産後にうつになる女性も多いことから、妊産婦の心身の支援策も話し合う見通しだ。

 政府は昨年12月に閣議決定した「こども未来戦略」で、2026年度をめどに正常 分娩ぶんべん の保険適用を目指す方針を明記した。

 出産費用は現在、けがや病気ではないとの理由から、帝王切開などを除いて保険適用の対象外となっており、各医療機関が独自に費用を設定している。

 政府は昨年4月、出産時に支払われる「出産育児一時金」を原則42万円から50万円に引き上げたが、費用は物価高騰の影響もあり、上昇傾向にある。病院や地域で差があり、地方より都市部の方が高い。22年度の正常分娩の出産費用は全国平均で48・2万円と、10年前と比べて約6・5万円高くなっており、一時金の超過分は自己負担を強いられている。