医療ニュース 2024.04.02

がん治療薬オプジーボ、効く患者と効かない患者見分ける手法開発…「効果予測へ向けた重要な一歩」

 2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶(ほんじょ)(たすく)・京都大特別教授や近畿大などのチームは、肺がんの大半を占める「非小細胞肺がん」に対し、本庶氏が開発に貢献したがん免疫治療薬「オプジーボ」が効く患者と効かない患者を見分ける手法を開発したと発表した。採血した血中たんぱく質から簡便に判定でき、早期の実用化を目指す。論文が2日、国際医学誌に掲載された。

 オプジーボは、がんを攻撃する免疫細胞の一種「T細胞」を活性化する一方、効果の出ない患者が一定数いるのが課題となっている。年間約12万6000人が発症する肺がんでは約2割の患者しか効かないという。

 チームの林秀敏・近畿大主任教授らは、薬が効くかどうかの鍵となる血中の「PD―L1」や「CTLA―4」などのたんぱく質に着目。非小細胞肺がんの患者50人の血液を、医療機器大手シスメックス(神戸市)が開発した検査機器で分析した結果、この2種類の濃度が低い人ほど、オプジーボの治療効果が高い傾向を示すことがわかった。

 従来、患者の肺から採取した組織のたんぱく質濃度を調べていたが、採血で検査できれば、体への負担が軽く、予測精度の向上も期待できるという。本庶氏は「がん免疫治療の効果予測へ向けた重要な一歩」とコメントしている。

 河上裕・国際医療福祉大教授(免疫学)の話「血液検査は便利で、実用化に向けて症例を積み重ね、予測精度を確認することが期待される」