医療ニュース 2024.02.29

HIV治療薬「ツルバダ」、予防投与でも申請…承認国では「適切な服用で99%感染予防」

 米製薬会社ギリアド・サイエンシズは28日、エイズの原因となるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症の治療薬「ツルバダ」を、感染予防でも承認するよう厚生労働省に公知申請した。予防投与を認める国では新規感染者が減少しており、HIV流行を終結させる切り札として期待される。

 公知申請は、国内の臨床試験を省略し、医薬品の製造販売を承認申請できる制度。欧米での使用実績などの条件がある。予防投与は、世界保健機関(WHO)が推奨し、欧米やアジア諸国で承認されている。

 ツルバダは飲み薬で、HIV感染症のパートナーがいるなどして、医師が性行為でHIVに感染するリスクが高いと判断した人らが対象となる。適切な服用で感染を99%防げるとする海外の報告がある。

 厚労省は、予防投与については、公的医療保険を適用しない方針だ。国立国際医療研究センター(東京)エイズ治療・研究開発センターの水島大輔治療開発室長は「承認されれば、医師らが予防法として情報提供しやすくなる。感染リスクが高い人が確実に服用するには、公費助成の仕組みも必要だ」と話している。

 国立感染症研究所によると2023年に新たにHIV感染が判明した人は943人(速報値)だった。