医療ニュース 2024.01.25
認知症がん患者の対応、拠点病院の97%「困ったことがある」…治療方針説明しても判断できず
全国のがん診療連携拠点病院の9割以上が、認知症のがん患者への対応に苦慮した経験があるとする調査結果を日本対がん協会(東京)がまとめた。患者本人が治療に関する判断ができない、在宅での治療の支え手がいないなどのケースが目立った。専門家は、超高齢社会で認知症のがん患者が増える中、支援体制の強化の重要性を訴えている。
調査は昨年4~6月、全国のがん拠点病院約450施設にアンケートを実施、256施設が回答した。その結果、97・7%にあたる250施設が「認知症のがん患者への対応に困ったことがある」と答えた。
困ったと答えた施設に状況を複数回答で尋ねたところ、「(医師が治療方針を説明しようと思っても)治療について判断できない」が93・2%と最多で、「在宅での治療を支える家族がいない」が76・7%と続いた。「在宅での抗がん剤治療中に下痢や発熱などの副作用を周囲に伝えられない」も多かった。
結果の分析に協力した小川朝生・国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長は「治療に関する意思決定や、退院後の暮らしを支える仕組みづくりを進める必要がある」と指摘している。