医療ニュース 2024.01.10

臓器移植の体制充実を求める要望書、学会が国に提出へ…東大などで受け入れ断念相次ぎ

 日本移植学会は、脳死者から提供された臓器の移植を担う施設の体制充実を求める要望書を国に提出する方針を固めた。東京大など3大学病院で人員や病床などが不足し、臓器の受け入れを断念する例が相次いでいる問題を受けたもので、小野稔・同学会理事長(東大心臓外科教授)が9日、読売新聞の取材に対し、明らかにした。厚生労働省も関係学会と協力して対応を進める。

 脳死者の臓器提供は2023年、過去最多の132件となった。主要な移植施設に臓器の受け入れ要請が集中し、東大、京都大、東北大の3大学病院では対応能力が限度を超えたとして、受け入れを断念する例が60件超あった。

 小野理事長は「今後の移植医療の方向性を決める重要な時期を迎えている。問題が広がる前に、早く手を打たねばならない」と述べ、6~7月にも要望書を提出する考えを示した。

 一方、武見厚労相は同日の閣議後記者会見で、看護師らや集中治療室の不足による臓器受け入れの断念例が生じていることを認めた上で「提供件数の増加を踏まえた対応が重要。移植医療の円滑な実施に向けて関係学会と協力して対応する」と述べた。