医療ニュース 2023.12.28

イヌの尿からiPS細胞作製、病気の治療や創薬に期待…大阪公立大など研究チーム

イヌのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を効率良く作製する方法を開発したと、大阪公立大などの研究チームが発表した。採取しやすい尿の中に含まれる細胞を活用した。イヌの病気の治療や創薬への応用が期待される。論文が科学誌ステム・セル・リポーツに掲載された。

人やマウスのiPS細胞は、主に皮膚や血液の細胞から作る。イヌの場合も、皮膚の細胞に4種類の遺伝子を導入する方法などが試みられていたが、iPS細胞になる効率は細胞1万個あたり2個程度と低かった。

 チームは、尿の中の細胞に着目。尿から集めた細胞に6種類の遺伝子を導入する方法でiPS細胞を作製した。ビーグル犬で試したところ、最大でこれまでの約120倍という高い効率で作製できた。

 同大の鳩谷晋吾教授(獣医学)は「イヌの病気でも、iPS細胞による再生医療が実現できる可能性がある。iPS細胞の作製が難しい他の動物にも応用していきたい」としている。

 麻布大の久末正晴教授(獣医内科学)の話「動物を傷つけず、これまでより簡単な方法で効率良くiPS細胞を作ることができたのは大きな成果だ。治療につなげるには、目的の細胞にどう変化させるかの研究を進める必要がある」