医療ニュース 2023.12.23
小麦から「カビ毒」検出の岩手県、8割の26市町村で利用確認…返礼品や給食で
JA全農いわてが販売する県産小麦「ナンブコムギ」から基準値を超えるカビ毒が検出された問題で、学校給食やふるさと納税の返礼品などへの影響が広がっている。カビ毒の可能性がある小麦の利用が確認されたのは、県内全33市町村の約8割にあたる26市町村。これまでに健康被害は確認されておらず、県は「通常の摂取量で健康に影響を及ぼす可能性は低い」として、冷静な対応を呼びかけている。(福守鴻人)
同JAは11月28日、県産小麦の一部から、カビ毒の一種「デオキシニバレノール(DON)」が、食品衛生法の基準(1キロ・グラムあたり1ミリ・グラム)の最大約6倍検出されたと発表した。対象の小麦約710トンのうち、約404トンはすでに小麦粉などとして出荷され、製粉会社などが自主回収を始める事態となった。
ナンブコムギは地域の特産品にも広く利用され、今月7日には、花巻市がふるさと納税の返礼品「花巻産南部小麦そうめん」に使われていたと発表。他自治体の返礼品でも利用が次々と判明し、影響は14日までに計8市町(計481件)に及んだ。
学校給食にもすいとんや煎餅汁、ひっつみ汁などとして提供され、14日までに少なくとも県内計26市町村のほか、青森、宮城両県の小中学校などで利用が確認された。
内閣府の食品安全委員会によると、今回検出されたDONは、汚染された食品を食べると 嘔吐 や下痢などを引き起こす恐れがあるとされる。製粉や調理の過程で濃度が薄まるという報告もあるといい、同安全委は「基準は低く設定されている。超過しても、ただちに健康への影響が出る性質のものではない」としている。
「南部せんべい」の原材料にナンブコムギを使っていた盛岡市の「老舗白沢せんべい店」は一時営業を休止したが、18日に再開した。一部の商品で安全性が確認されたナンブコムギの利用を再開しており、白沢一美津社長(51)は「ごまにもピーナッツにも負けない風味と味があり、ずっしりした重量感も出る。今後も利用を戻していきたい」と話した。