医療ニュース 2023.12.18
市販薬のオーバードーズ防止へ、20歳未満に大容量・複数個の販売禁止方針…依存性ある成分の品目
厚生労働省は18日、20歳未満に風邪薬などの市販薬で乱用の恐れがある薬を販売する場合、大容量や複数個の販売を禁じる方針を決めた。若者を中心に市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)の問題が広がっているため、対策を強化する。専門家部会での議論を経て、2025年までに医薬品医療機器法(薬機法)を改正したい考えだ。
18日に開かれた別の有識者検討会で規制強化案が了承された。
対象は、医師の処方箋なしに薬局やドラッグストアなどで購入できる市販薬のうち、依存性のある6種類の成分を含むもので、約1500品目あるとされる。
対策では20歳未満は小容量の製品1箱のみとする。1箱でも対面かオンライン通話での販売を義務づけ、身分証による本人確認のほか、副作用などの説明を必須とする。繰り返しの購入かどうかを見分けるため、販売記録を保存する。
20歳以上でも、複数個や大容量の場合は、対面かオンライン通話での販売を求める。ただし、小容量の1個については、ネット販売を認める。
危険ドラッグの規制が強化された14年以降、若者の間で、市販薬を過剰摂取するケースが広がっている。国立精神・神経医療研究センター(東京都)の調査では、薬物依存症で治療を受けた10歳代の患者のうち14年までは市販薬を使うケースはなかったが、22年には65%まで増えた。
厚労省は現在、乱用の恐れがある薬について、中高生に販売する場合、氏名や年齢を確認するよう店側に求めているが、徹底されていない実態がある。厚労省の担当者は「最近は過剰摂取の問題が深刻化しており、法改正を待たずに導入できる対策は前倒しで実施する」としている。