医療ニュース 2023.12.13
コロナ流行から4年、第一三共の純国産ワクチン接種開始…米国は11か月で実用化
第一三共(東京)が開発した新型コロナウイルスのオミクロン株「XBB」系統に対応したワクチンの接種が始まった。国内企業が開発した初の「純国産ワクチン」が、新型コロナ流行開始から4年近くを経て実用化した形だ。
同社製は、国内で広く利用されている米ファイザー社製や米モデルナ社製と同様、遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」を使ったワクチン。今年8月、従来株に対するワクチンの製造販売が承認された。同9月にXBB系統用のワクチンも承認され、厚生労働省は第一三共と計140万回分の購入契約を結んだ。12歳以上を対象に、追加接種用として使用される。
東京都板橋区で13日に接種を受けた同区の主婦田中和子さん(67)は「今までと変わりなく接種できた。国産と聞くと何となく安心できる」と話した。
新型コロナワクチン開発を巡っては、日本企業は海外勢と比べ、大幅に後れをとった。感染症対策を国家安全保障政策に位置づけ、研究を手厚く支援してきた米国では、新型コロナの流行開始から11か月でワクチンの実用化にこぎ着けた。
政府は、今回の教訓を受け、2022年3月にワクチン開発の司令塔として「先進的研究開発戦略センター( SCARDA )」を設置。1500億円の基金で企業や研究機関を支援するなどして、新興感染症に対するワクチン開発を強化した。
新型コロナのmRNAワクチンについては、第一三共のほか、「Meiji Seikaファルマ」(東京)やバイオ新興企業「VLPセラピューティクス・ジャパン」(同)も開発を進めている。