話題沸騰!数々の人気番組に出演している医師たちが語る
「キャリア」「信念」「未来」そのすべてに迫るインタビュー!
どのようにしてスキルを高め、逆境を乗り越えてきたのか?
日常の葛藤、医師としての信条、そして描く未来のビジョンとは――。

【出演番組一部抜粋】
世界のスーパードクターほか、人気メディアに出演
今回のゲストは、福田総合病院の「米田 正始」先生です!
テーマは 第3回「他院で『このままだと生命を落としてしまう』と言われた患者さんが来られます」をお話しいただきます。
目次
- プロフィール
- 2020年から福田総合病院に勤務されているのですね。
- 福田総合病院では外来をなさっているのですね。
- 先生は個人でホームページをお持ちですし、そこでの発信量も多いですが、そこから患者さんがいらしているのですか。
- 先生がお得意とされているニッチな領域とはどのようなものですか。
- 先生の掲げる「断らない医療」の原点はどのようなところにあるのでしょうか。
- 患者会も作っていらっしゃいますよね。
- 最近の若手医師の外科離れについて、どのようなご意見をお持ちですか。
- それでは心臓血管外科の面白さはどのようなところにあるのでしょうか。
- 心臓血管外科の手術を上達させるにはどうしたらいいですか。
- まずは見ることからなのですね。
プロフィール
- 名前
- 米田(こめだ) 正始(まさし)
- 病院名
- 福田総合病院
- 所属
- 心臓センター
- 資格
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- 日本胸部外科学会認定医・指導医
- 日本外科学会認定医・専門医
- 三学会構成心臓血管外科専門医認定医機構心臓血管外科専門医
修練指導医 - 米国胸部外科学会(AATS)会員
- 米国臨床胸部外科医会(STS)会員
- ヨーロッパ心臓胸部外科学会(EACTS)会員
- アジア心臓胸部外科学会(ASCVS)会員・理事
- アジア弁膜症アカデミー(Mulu弁膜症国際シンポジウム)理事
第9回国際シンポジウム会長 - 日本冠疾患学会理事・名誉会員
- 日本冠動脈外科学会理事・幹事・名誉会員
- 日本低侵襲心臓手術学会(旧Japan MICS Summit)世話人・理事
- 日本心臓血管外科学会理事・特別会員
- 神戸大学大学院非常勤講師
- 岡山大学大学院非常勤講師
- 中国・大連大学医学院附属中心医院客員教授
- 中国人民解放軍第二軍医大学客座教授
- 中国・天津医科大学・泰達国際心臓血管病院客員教授
- 昭和大学客員教授、All About 心臓病 ガイド など
- 経歴
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- 1955年奈良県橿原市で生まれる。
- 1981年京都大学を卒業後、天理よろづ相談所病院でジュニアレジデントとなる。
- 1983年天理よろづ相談所病院でシニアレジデント、心臓血管外科上級研修医となる。
- 1987年天理よろづ相談所病院心臓血管外科医員となる。
- 1987年トロント大学トロント西病院心臓血管外科に上級医員として留学する。
- 1990年トロント大学トロント総合病院心臓外科に上級医員として留学する。
- 1993年スタンフォード大学医学部メディカルセンターに上級研究員として留学する。
- 1996年メルボルン大学医学部心臓血管外科に主任外科医・助教授として着任する。
- 1998年京都大学医学部心臓血管外科教授に就任する。
- 2007年豊橋ハートセンター、大和成和病院心臓血管外科スーパーバイザーに就任する。
- 2008年名古屋ハートセンターに副院長、心臓血管外科統括部長として着任する。
- 2013年高の原中央病院かんさいハートセンターに特任院長、ハートセンター長、心臓血管外科部長として着任する。
- 2015年仁泉会病院心臓血管外科部長(2024年まで)、野崎徳洲会病院心臓血管外科スーパーバイザー(2016年まで)を兼任する。
- 2016年医誠会病院心臓センターにスーパーバイザーとして着任する。
- 2020年福田総合病院に心臓センター長として着任する。
断らない医療
ー2020年から福田総合病院に勤務されているのですね。
福田総合病院では内科や循環器内科を中心に診ています。福田総合病院は大阪府枚方市にあり、在宅医療や介護にも取り組むなど、地域医療で高い評価を受けている病院です。
私は心臓センター長という役職に就かせていただき、断らない医療を実践しています。手術に関してはスーパーバイザーとして勤務している一宮西病院、客員教授として勤務している昭和医科大学横浜市北部病院などで行っています。私はニッチ領域で、変わった手術を色々とやっています。
そういうニッチな手術の場合は有名な病院や大学病院などで「こんな手術できない」と言われた方々がインターネットなどを検索して来院されるんですね。それで関東の患者さんでしたら、なるべく昭和医科大学横浜市北部病院で手術しますし、名古屋から西のほうの患者さんでしたら、一宮西病院で手術をするといった感じで回しています。
ー福田総合病院では外来をなさっているのですね。
内科の外来と心臓血管外科の外来を担当しています。それから一宮西病院で手術を受けた西日本の患者さんは一宮西病院を退院して、ご自宅に戻られる途中で福田総合病院に立ち寄られますので、そういった術後の患者さんを福田総合病院の外来で診たり、リハビリをしていただいています。リハビリにもいろいろありますが、現役の心臓外科医が監督するリハビリは珍しく、好評を頂いています。
ー先生は個人でホームページをお持ちですし、そこでの発信量も多いですが、そこから患者さんがいらしているのですか。
ホームページには力を入れて作ってきました。それで、他院で「このままだと生命を落としてしまう」と言われた患者さんが来られます。
内容によっては「これは◯◯病院に紹介してさしあげます」ということもありますが、私は「これは大丈夫。いける」というニッチな領域をいくつか持っていますので、そういう病気の患者さんが来られます。
そこで、ほとんどの方が元気になっていきますし、5年、10年と経ってもお元気な姿を見ると、私もそれなりにお役に立っているのだなという気持ちになります。
ー先生がお得意とされているニッチな領域とはどのようなものですか。
例えば、拡張型心筋症が挙げられます。重症になると心臓移植となりますが、心臓移植を受けたくないとか、年齢によっては手術を受けられないとなると、そういう方は死ぬしかないといった扱いになります。良く言えば看取りですが、悪く言えば見放されているようなものです。
ところが、データを見れば「あなたはもっと元気になれるよ」「仕事に戻れるよ」ということがかなり分かりますので、そういう患者さんへの治療はニッチな領域だと言えるでしょう。
次に、肥大型心筋症も挙げられます。肥大型心筋症については最近、手術できる病院が増えてきましたが、それでも手術ができないタイプがあります。私はその手術を早い時期から行ってきました。患者さんにしてみれば「あなたは終わりです」みたいなことを言われてからの手術で元気になりますので、本当に喜ばれています。
これら以外ですと、複雑な弁の形成なども挙げられます。バイパス手術のように年間200例、300例というほどの数がない、ニッチな領域です。

実習学生たちの多くは医学に興味を持ち医学部進学してくれたことをうれしく思っています。
ー先生の掲げる「断らない医療」の原点はどのようなところにあるのでしょうか。
断られた患者さんは死ぬのを待っているだけのような状況になりますので、それを何とかしたいというところです。ただし誰がどんなことをやっても駄目だという場合やそんな病気もあります。
例えば、心臓腫瘍で、心臓の周囲をがんが取り巻いているような場合は「無理です」と言って、「1日でも長く家族と一緒の時間を過ごしてください」とお願いしたことはこれまでにも何回もあります。しかし「駄目だ」と言われて、泣きながら来院された患者さんに「いや、これは元気になるよ」と言ったことはもっとあります。
「断らない医療」というのは医療の狭間みたいなところで困っている方々に対して、「治せるケースが意外にあるよ」というもので、私がお役に立てるのはそこだと思っています。
患者さんから「ほかの先生に治せないと言われたものを先生は治せるんですね」と言っていただけるのは格好良いですしね。あくまでもニッチな領域だという意味ですが、私はそういう領域を少しずつ増やしていきました。
ー患者会も作っていらっしゃいますよね。
最近は疲れてきたので、あまり開催していません(笑)。かつて京大を辞めるときに、患者さんが何万人という署名を集めて支援してくださったんです。そのお礼にという気持ちもあって、患者会を開催し、食事でもしながら話をしたり、自由に質問していただいたり、患者さんの生活上で役に経つ情報をお伝えしていこうかなということで、年に何回か開催していました。今は外来で時間の範囲内ながら雑談しています。
若手の外科離れ
ー最近の若手医師の外科離れについて、どのようなご意見をお持ちですか。
外科の中でも心臓、脳、肝臓移植などといった厳しいところでは若手が減っており、厳しい割には報われないということが問題になっていますね。これまでは医師の遣り甲斐だけでもっていたわけですが、それではもうもちません。個々の先生の考え方もありますが、配偶者の考え方もあります。
私が研修医の頃は重症の患者さんの受け持ちになると1カ月ぐらい病院に泊まって、何とかして助けたいと努力していましたし、それに誇りを持ってやっていました。しかし、今そんなことをして、1カ月ぶりの家に久しぶりに帰ってみたら、既に奥さんは家出したあとでしょう(笑)。医師本人が「いや、僕は頑張る」と言っても、現在の場合は家庭が崩壊しますし、成り立ちません。
では、どうすればいいかと言うと、1カ月も病院に泊まるといった無理なことをさせないことで、それには信頼して任せられるチームが必要です。それから、頑張っただけ報酬を得られることが大事だと思います。欧米はどこもそうですよ。欧米では実績を上げている人は収入が高いんです。頑張っても頑張らなくても給料が同じだと、昔のソビエト連邦の自動車産業のようになってしまいます。いくら良い車を作っても、作らなくても収入が同じだった当時のソビエト連邦の自動車は酷いクオリティでした。そうは言っても日本の健康保険制度の中で頑張った医師の報酬を上げるというのは容易ではありません。民間病院では成果主義を導入するケースが増えていますが、公的病院では相変わらず年功序列で報酬が決まるようです。
今の日本で外科を目指す人が少ないというのはシステムエラーです。若い先生を批判するのはおかしいですね。あと10年で外科医を目指す人がゼロになるかもしれないという話もありますが、私もあり得ると感じています。
ーそれでは心臓血管外科の面白さはどのようなところにあるのでしょうか。
心臓血管外科は良いことをすれば、すぐに分かることです。結果が出るんですね。例えば、がんの治療であれば、どんなに上手な医師がどんな手術をしても、本当にそれは良い手術だったのかどうかが分かるのは5年、10年先なんです。むしろ完璧な手術ほど、がんを取り切りますし、リンパ節も徹底して郭清しますので、手術直後の患者さんはぐたっとしています。逆にほどほどの手術のほうが手術直後の患者さんは楽に過ごしているわけです。
一方で、心臓血管外科では特に重症の場合だと、良い手術をすれば患者さんは生きますし、できなければ亡くなります。そのため、心臓血管外科には頑張ったら報われる、頑張らなかったら酷い目に遭うという二面性がありますが、それが遣り甲斐につながります。
ー心臓血管外科の手術を上達させるにはどうしたらいいですか。
良いものをしっかり見るところからですね。今は日本の心臓血管外科のレベルも非常に上がりましたので、国内の病院で見学したり、教えてもらったりしながら、交流を通して学んでいくというのも一つの方法です。ただし上司の気持ち良い了解をもらって下さいね。
それから、今でも外国の良さはあります。私が若い頃は外国のほうがレベルが圧倒的に高かったので、まずは優れた海外の病院に行くことでした。そうすると、毎日が感動の嵐でしたね。海外に関心を持ち、経験者に相談するのも良いでしょう。良いものをしっかり見ながらマスターしていくわけですが、見ただけでマスターできるのはレベルが上がってからのことですので、最初は基本的な練習も必要です。

ーまずは見ることからなのですね。
そうです。まずはしっかり見ますが、そうは言ってもどこかの段階ではやらせてもらわないとうまくならないので、やらせてもらえる場所に行かなくてはいけません。
当時、海外の若い先生方も「やらせてもらえないで、どうやってうまくなるんだ」と言っていましたし、やらせてもらえる病院に優秀な人が集まっていました。海外の大学病院は以前から症例数が非常に多く、当時の日本の大学病院の10倍から20倍ぐらいありました。それをたかだか10人の医師で回していたので、死ぬほど忙しかったのですが、半端ない充実感がありました。教える立場からは、若手にやらせなくてはいけないのですが、そうは言ってもやらせられる環境ばかりではないので、私たちの時代によく言われていた「見て盗む」という能力は今後も必要だと思います。とくに部長レベルにもなれば見て盗む技術は新たな展開のためには必須です。
それから最近は常識になってきましたが、オフ・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)で練習することです。色々な模型などを使って、いわゆるシミュレーションをすることも大事です。間違っても、患者さんではシミュレーションできないですからね。私は30年以上前からOJTを実践していました。来る日も来る日も練習する、甲子園球児と同じです。